ホメ上手になろう


 前回の「ビジネスにおける頭と口の関係」というエントリーで「爽やかなお世辞をさらりといえる」のが理想と書いたけど、それを学ぶためにお勧めな本が、「すごい!ホメ方」 内藤誼人著です。

タイトルの割りに書いてある内容は一般的。サブタイトルの「職場で、家庭で、恋愛で・・・相手を思うままに操る悪魔の心理術」は誇大広告だけど、読む価値はあります。「ホメる」に焦点を当てて基本的な心構えから一般的な方法までを書いた本として、非常にオススメだし読んでて楽しめると思う。この本が一番役に立つ人のタイプはアマゾンのこのレビューじゃないかな。

人付き合いが苦手なのに、ただ社歴が長いという理由だけで
後輩や部下を持ってしまった哀れな私。長年、上司には叱られて
ばっかりで、褒められた経験などほとんどありません。
だから、私のスタイルも、叱る、怒る、クドクドと説教する。という
最悪なもの。わかっちゃいるけどこれしか知らない!
まあ、結果としては「誰も私の言う事なんか聞かない。」という
みじめな状況。これはまずい。かなりヤバイ。
で、手に取ったのがこの本。

冒頭のホメ技術診断では、当然のごとく「力不足」と判断されましたが、そんなこと知ってますから!
この本のいいところは、褒めることの重要性をクドクド説いたりしません。
「そんなことわかってますよね?」的なノリで一気に具体的なハウツーに移行します。
で、
'1、褒める前に知っておくべきこと。
'2、タイプ別の褒め方、小技。
'3、さらにホメ上手になるために。

みたいな感じでステップアップしていきます。
どれも、う〜ん。と唸らされる説得力のある内容で、すべてが私に欠けているものでした。
不思議なのは、今まで褒めたことなんか無い私が、すぐにでも人を褒めたい!とワクワク
してきたことです。つまりそれだけ具体的イメージを沸かせてくれる構成なのでしょう。
「相手を思うままに操る悪魔の心理術」なんていやらしいサブタイトルがついていますが
円滑なコミュニケーションを促進させてくれる、真面目な本です。
ほんと人柄が浮かんでくるぐらい、良いレビューだよね。

基本的にこの本は「年下を誉めることでホメる練習をする」方法を薦めているので、上記のような人に一番ぴったりくる。逆に新人の場合、自分より下の位置づけの人はいないから、最初の練習相手が見つからないかもね。そんな点も考慮に入れつつ、個人的に考えたいと思います。

・ホメるのは技術
この本に書いてあるように、これが一番の大前提です。技術というより「視線の優しさ」に近いと思うな。ホメるのが一番下手なのは「能力がある&自分と比べる」タイプの人です。部下がどんな結果を出しても、「俺ならもっと上手くやれた」と思いながら評価するので、ケチしかつけない。どれだけ「俺ならもっと上手くうまくやれた」が正しいとしても、こういう人はシンプルに言って器が小さい。くれぐれもこういうタイプにならないようにしないとね。

この本には書いてないけど、もう一つの大前提として自分が相手を評価する立場になればホメるのは凄く簡単。相手のパフォーマンスが低い時にも「頑張ったよね、惜しかったね、次に期待してるよ」等を言えれば、それだけで十分だから。だから難しいのは相手と対等もしくは相手が上位の時です。その時に上手にホメれるようになると出世は早くなる。いまどきの若者はそこまで出世に興味無いと思うけど、「仕事がしやすい環境になる」のは非常に良いことだから。で、まず、対等(もっと卑近に言えば恋愛)の時から考えてみよう。

〜蠎蠅離灰鵐廛譽奪スを「変換」してホメ言葉に変える
 覗蠎蠅痢崋綸澄廚髻崢構蝓廚箸靴謄曠瓩蹇
美人の女性は、ホメないほうがいい
恋愛におけるホメ方の原則を全て抑えているのがこの本の素晴らしい所。ただ、これらは本気で難しいんだよね。たとえば◆5佞膜覆擦个いいって、それは違う。本当に上手い男は隣の可愛く無い人をガンガンに誉めて、美人な人には「君はね〜なんかなぁ」と笑顔でちょっとネガティブを言える。コンパでここまで出来る人はかなり凄いです。特に「これがダメだよね」と言わずに「なんかなぁ」で上手くごまかす。「なんかなぁ、ってなんですか」と相手がちょっと怒ってきたら、それを使って「そうそれ、怒りっぽいって言われない?」とか、「○○さん、どう?どう思う」と別の人に振る。もっと上手くなると「自分自身を完璧だと思ってる?」と美人に返して「当たり前でしょ」なら「やっぱ問題外だね」と返す。良い流れは「そりゃ完璧なわけないわよ」で相手の弱い点を相手自身に喋らせること。

ここら辺がいわゆるトーク術というヤツですな。一番必要なのは 畫蠎蠅離灰鵐廛譽奪ス:「弱点」を見つけて「長所」としてホメる事だから、真のポイントは相手自身にコンプレックスを喋ってもらう手法なんだよね。そこまでいけば、相手が対等だろうと相手が上司だろうと、こちらが評価できる地点に行くから。この世の大前提として「下手が上手をホメるな」があるので、逆に言えば「自分の方が上手だったら、下手な人を評価できる」ワケで、どれだけ関係が対等だろうと相手が上だろうと、特定の分野ならば自分の方が上手なところを見つける。それが一個も無いなら、根本的に得意分野を作るところから始めた方がいいかもよ。

もうひとつ大事なこととして、「弱点はすぐには長所にならない」
すぐに長所にならないからこそ弱点でありコンプレックスなんだから、単純な発想では'はかなり困難。これが自由自在に出来る人は流石に会った事が無い。普通は「そんなことないよ。今のままで十分ジャン」ぐらいしか言えないんだよねぇ。だからセンスというか、視点の独自性というか、そういうものは必要。そこら辺まで書いてある本なんてこの世にねーよと思っているので、というよりも「そこまで教えてもらうのを望むな。教えてもらったら独自性ゼロだろ」とも感じているので、この本に対して「ノウハウが足らない」とネガティブ意見を書く人は根本的に間違っているとぶっちゃけ思ってます。「これぐらい当然だろ」とネガティブ意見を書く人は、立ち読みをしっかりしましょうとしか言えないけどね(汗
だから、自分自身の弱点を長所にした経験がある人だけが、真に相手を励ますことができる。これがこの世の真理でしょう。そういう意味では、本当に必要な態度は、この本を読むことだけじゃなくて、自分自身の弱点に向きあう態度なんだけどネ。


次に、相手が上の立場の時
この時にどうホメるかなんて考えてもしょうがないです。まずは平均レベルまで仕事を出来るようになるのが大前提だから。仕事が出来ない奴が何を言っても、おべっか以上にならない。まずは平均以上の、普通ならホメられるレベルまで行って、そこで上司がホメてくれた時に、「いえ、まだまだ不十分です」と言えればそれでOK。もちろん不十分な点は明確に言えた方がいいから、「次回は○○の観点から取り組みます」ぐらいは必要かな。とかなんとか書いていると、新人にはこの本は役に立たないと思えるかもしれないけど、それは違うよ。この本に書いてある内容は基本レベルだから、若いうちに知っていた方がいいです。


ということで結論。
・この本は基本だからとりあえず読むのをオススメ
・自分の得意分野は頑張って作ろう
・自分の弱点は、最低限見ないフリはしない。できればそこから長所をひっぱりだす

この態度で数年頑張れば、ホメ上手になれると思います。世の中、正しい心構えと日々の地道な継続だからね。




憧れが変わる→満足が変わる→生活習慣が変わる


「いまちょっとTVが面白いよ」といわれて見てみたら、ぽっちゃり雑誌のラファーファを取り上げてた。時代はそこまで来てたのね。「ミケポチャ」とか造語もナイス。Amazonでこの雑誌眺めてる時に見つけたのがこの本。内容とレビューを見て、ついつい買っちまった。

いやー、純粋にオモロイ。マンガ形式だから気楽に読める。それでいて、真理(深いイイ話)が多い。やっぱりちゃんとダイエットが成功した人は真理を見つけてるね。時期的にも「今年の夏のためにダイエットがんばる」という女の娘へのプレゼントとしては最高!! これまで自分にとってのダイエット最高本は「いつデブ」だったけど、あれはあくまで男性用。女性用なら間違いなくこの本でしょう。


著者は「断食に近い過激なダイエット」→「反動で太る」を繰り返してきた過去を持ち、「私のこれまでの人生・・・ダイエット期とおデブ期しかなかったってことに!」という気づきから始まる。

「日記を公開してダイエット仲間を作ろう」サイトでスリム美人の生活と、ダイエットに失敗している人の生活の違いを比較した所がCool。詳しい中身は本を読んでもらうとして、この本を読んだ上での私の意見を書いていきます。

いつデブ本にも、体がスナック菓子でなく、ひじきや高野豆腐のような食べ物を求めるようになったと書いてあったけど、満足の基準が変わるのが一番の成功要因なんだよね。このスリム美人本でも、今までの満足感(=満腹感)は、「もうこれ以上食べれない」という胃の悲鳴であって、本当の食事をいただいた満足では無かったのでは?という気づきがいい。こういう内省が出来る人が伸びる人なんだと思う。

生活習慣が変わらないと、いつか元に戻るから。
生活習慣が変わるには、満足の基準が変わらないといけない。

けど、「満足の基準を変えろ」といわれて、すぐに変わるなら誰も苦労しない。だから、憧れる人の生活習慣をそのまま丸ごと真似するというのは、非常に正しい方法だと思う。

この本の中で一番の辛い事実が書いてあるのは「友達に「あれ、ちょっとやせた?」といわれる→7ヶ月」という部分だと思う。どんな分野であれ、周囲に努力を認定されて、初めて継続的なやる気が生まれる。けど、それが7ヶ月というのは結構長い。だから最低でも7ヵ月は「周囲からのフィードバックをゼロと覚悟して、それでもやる気が続く仕組みを考えないといけない」 もちろんこの本にはその内容も載っているので、そういう意味でもナイスな本。(実際は90k台からのスタートだからであって、普通は3ヶ月ぐらいだと思うけど)



企画会議のコツ

創造力とコミュニケーション力の両方が必要になるのが企画会議。最近は私の業務も企画寄りになっているので、この本の有難味を痛感してます。出版不況なので新書形態が多いが、中身がスカスカな新書と、ぎっしりノウハウが詰まった新書の差がどんどん開いていると思う。もちろんその判断は読む人の既存知識・スキルに左右されるけど、この本は私自身にかなり参考になった。

もちろん最低限のコミュニケーション力は必要だし、会議メンバーの中のTOPの顔色を伺うスキルも必要不可欠。そこら辺はこちらの過去のリストを読んでいただくとして、この本のポイントを挙げながら私の感想も書いていきます。

「この企画、ぜひとも実現させたいな〜」という時でも、皆の総意を汲み取った上で、「やれること」と「やりたいこと」を折り合いをつけながら提案する作業が肝心なのです。そのためには場の空気を「交通整理」したり、あるいは「緩和」したり、時には「工作」したりと、さまざまな現場で、実現に向けて上手に立ち回る能力が求められているのです。

と「はじめに」で書いてある通り。だから一般コミュニケーションや飲み会等でなく、あくまでも企画会議が主戦場の本なので、そういう業務が多い人にはオススメです。



「努力はいらない「夢」現実脳の作り方」 苫米地英人

Book紹介コーナーに苫米地本を取り上げるのは初めてじゃないかな。HP時代から散々話題には出てきたけど、自信を持ってオススメできる本はこれだと思う。

プロ野球選手のノリさん。
中村紀洋(なかむらのりひろ)は日本のプロ野球選手。ブラックバージョン(黒ノリ)とホワイトバージョン(白ノリ)の2パターンの人格を使い分けている。中日時代は近鉄時代のイメージとはずいぶん変わった印象(白ノリ)を与えていたが、東北楽天ゴールデンイーグルス移籍直後に元の姿(黒ノリ)に戻り、自由契約となる。2011年横浜ベイスターズに電撃入団。とりあえず、現状は白ノリ。

苫米地氏も同じようにブラックバージョンとホワイトバージョンがあるんじゃないかと個人的には思ってます(笑 そもそもオウムシスターズの脱洗脳の後に結婚しちゃった時点でブラックのような。。世間一般的に見れば、「脱洗脳というよりも再洗脳しただけでは?」という解釈になるから。

山ほど本を書いているけどイカガワシイ系統の本も多い気がしてます。本人の持っている技術および理論体系はピカイチなんだけどねぇ、残念だよなぁ。今までも4,5冊は買って持ってるけど、本当にいい本があったら紹介したいなぁ。というのがこれまでの純粋な私の立場。

で、この本は表紙はブラックですが、中身は一番ナイス。以前のダメ自分本に並ぶほどのオススメです。あちらの本は、ダメ状態→通常状態に戻るためには最高の本。けど、通常状態→アクティブに活躍している状態になるためには、そこまで得るモノは少ないような。その点で、アクティブに活躍している状態を達成するために一番参考になるのがこの本だと思ってます。



誰も「井筒を読め」と言ってくれなかった


大学図書館の哲学コーナーと仏教コーナーを全部読破しようとしてた18の頃。
同時に古武術の稽古をして、家で座禅の真似事して。
殆どの本はさっぱり分からなかったけど、ベルクソンと華厳経だけは、そのコアの部分にものすごく共感できた。
己の学問における背骨を何にするのか、それは二十歳までに突き詰めておくのが正しいと、この歳になっても思う。

ソシュールやデリダやニーチェ、ウィトゲンシュタインは当然だし、中村元も基本。
けど、井筒俊彦の事はずっと知らなかった。初めて本を読んだのは去年、35の時。
それが悔しくて、このエントリーを書いてます。

「インド・中国はもとよりイスラムまで含んだ、東洋哲学を整理し、新しい哲学を打ちたてようとしている」唯一の人ということは、あの本「意識と本質」からも十分に伝わった。そして、昨日「イスラーム哲学の現像」「意味の深みへ」「意識の形而上学」の3冊を借りてきた(文庫本は買うが、千円以上の本はまず図書館なので)。そして薄い「イスラーム哲学の現像」から読み始めてます。

「意識と本質」は難しすぎて分からなかったけど、こちらの本は公開講座を元にしているので分かりやすい。で、やっと自分でも凄さを真に体感できた。この本は二十歳までに読まなくちゃダメじゃんか。

結局さ、世の中はそういうものなのかもね。「立花隆が井筒俊彦の本を読んで、哲学で身を立てることを諦めた」とか「司馬遼太郎も尊敬していた」とか、こういう一般的に有名な人を挟まないと、凄さが伝えれない人こそが本物なのかもね。というよりも、思想を真に理解するためには、原著を読む必要がある。これはどの学問分野でも共通。そして、中国語もヒンディー語もアラビア語を駆使してオリエントを含む中東思想の全ての原著を読んだ。この時点でまさしく天才。幼少の頃から座禅を鍛えられたというのも素晴らしい。

「ロシア的人間」とか興味がある本はまだまだあるけど、とりあえずこの3冊を読めば、何かが見えてくるかもね。
それにしても、「意味の深みへ」ってカッコいいタイトルだね、ほんと。

 



渡辺淳一のこと:「10代での衝撃」


「そっか、渡辺淳一は死んだんだ」

今までに読んだのは「遠い落日」「君もコクリコ我もコクリコ」ぐらい。膨大な不倫系小説を避けてきたのは、帰宅したら日経新聞の裏面の失楽園から読み始めるのが高校3年生の時の日常だったから。あれでお腹一杯です。不倫以外をテーマにしていると知って、上記2つの本は読んだ。それぞれに面白かったが、コクリコの方が今でも印象に残ってる。
なんかの折に、

「高校時代に付き合っていた彼女が入水自殺した」
「初めて心臓手術をして、非難された時の助手だった」

と知って、ぶっとんでる作家は、若い頃からぶっとんでる経験をしているんだなぁ、と思いつつ、入水自殺の件は心の奥底で気になってた。渡辺淳一本人が「彼女との事が無かったら作家になっていなかったかもしれない」と述懐するのも納得していた。今日は帰宅後、2時間ぐらいこのことについてネットで情報を集めてた。「阿寒に果つ」を知り、今、Amazonで注文したところです。


こちらのBlogで引用されている渡辺淳一の回想
渡辺淳一が若い頃にイケメンだったというのも、この写真でそこそこ納得。男の子は頭が良くて繊細な感じは出ているし、女性は多感でチャーミングな雰囲気が出てる。いい写真だからうちにもおいておこう。こちらのサイトは彼女の類縁者の意見として、彼女自身の家族の中での位置づけが垣間見える。

確かにこのサイトで考察しているように、接吻だけでなく「踏み込んだ人間関係」があったのだと思う。この言葉自体にセンスを感じる。「踏み込んだ人間関係」。 まあ、そうだろうね。じゃないと男はここまで引きずらない。この投稿が一番気になる。彼女の小説を読む事で、Blogの管理人は気づいたのだろうね。自殺の本当の原因を。

上手く言えないけど、渡辺淳一があそこまで書くということは、逆に実は書いてない部分があるということであり、本当の理由を書かなかったからこそ、それ以外の部分を小説にできたのだと思もう。

今の僕自身の想像では、妊娠や堕胎だと思うけど。


それにしても、なんでここまで気にしているんだろうなぁ。
渡辺淳一が描く「性愛の極限」にはそんなに興味が無いくせに、「10代での衝撃」にはどうしても気になっている。ある種の事はあらかじめ決められていたかのように生じ、自分に違う道があったハズなのに10代後半の男にそれが選べるワケも無い。相手に不幸が生じ、自分もそれで傷つく。この感覚をどうしようもなく共有しているからだね。

注文した本を読んで感じることがあったら、追加で書きます。
 



又吉「火花」 最後のオチに潜むもの

「10人が1回ずつ読む作品よりも、1人が10回読んでくれる作品を書きたい」と言ったのは誰だっけ? 
本当に読者の心を捉えた作品なのかは、売れた冊数や話題の量でなく、半年後のブックオフの棚を見ればいい。3冊以上並んでいたら、マーケティングと話題性の勝利であっても作品としての価値ではない。

又吉の「火花」を読みました。冷泉彰彦氏が好意的に褒めていた事もあるし、単に頼まれたから。「読んだけど全く良さがく分からないから、読んで分かるように説明してよ」と言われたので。純文学とお笑いの交差点にある作品だけど、僕自身が読み込んだ純文学は村上春樹だけ。村上春樹については以前に書いたが、お笑いならば、ピン芸人⇒バカリズム、漫才⇒笑い飯。ピースについては以前に相方の綾部のマザコンについてコメントしただけ今回は「火花」の話なので、バカリズムと笑い飯についてはこれ以上か書かない。お笑いに詳しい人はこの情報だけである種の判断をしてくれると思う。


「火花」について巷ですぐに手に入る情報はこちらが一番まとまってる。
その上で、タイトルが「火花」になった理由と、最後のオチについて考えたい。それ以外の部分は青春を漫才につぎ込んだ情熱と苦悩がよく描けている作品だから、誰も疑問も文句も言わないと思う。

タイトルが「火花」になった理由を「主人公と先輩の間の、まさに火花が散るような関係」と解説している事について、完全には納得してない。ベースが先輩(神谷)へのリスペクトだから、一般的に思い浮かぶ火花のような関係(ガチンコのライバル関係等)ではない。もちろん笑いについて、主人公(徳永)は最終的には先輩とは違う方向に進むのだから、「奥底にある」と枕詞を付けてくれれば良く分かるけど。

私自身はもっとシンプルに感じてる。熱海の花火のシーンから始まり、熱海の花火のシーンで終わるので、「花火」から「火花」というタイトルになったのだと。なぜ逆転したのか、そこはまだ上手く言えない。けど、もし熱海の花火を見た事が無い人がいたら、ぜひ行くことをオススメ。すり鉢状の地形が生み出す、背中から聞こえてくる花火の音。体感しないと真の凄さが伝わらない。あの感覚を味わうと、熱海の花火は音が背中から聞こえてくる。だから花火も火花で逆になる。という説明でも可能だと思えてくる。


最後のオチについて。読み終わった直後は意味不明というかグロテスクというか、吐きそうというか・・・
最後の章が無くて、主人公の決断(内容自体はネタバレになるから書かない)に対する先輩のコメント/アドバイスで終わるならば、凄く読後感の良い作品になったのだと思うし、ここについては読んだ全員が同意するだろう。けど、読んだあとに30分ぐらい考えて結論が180度変わった。こんなことは作者自身も百も承知で、わざと最後の章を持ってきたのだろう。

お笑い芸人として笑えないオチを最後に持ってくることで、彼は純文学に殴りこみをかけているし、結果として成功している
又吉は無茶苦茶なことをする。これが作品途中での「神谷さんは「いないいないばあ」を知らないのだ。神谷さんは、赤児相手でも全力で自分の笑わせ方を行使するのだ。誤解される事も多いだろうけど、決して逃げている訳でない」の成れの果てか・・・。赤児相手の蝿川柳ならばぎりぎり付いてこれた。けど、最後の章は殆どの人にとって無理だし、だからこそ逆に神谷という男の人間性が浮かび上がる。その悲哀感。笑いの文脈としては大失敗なのに、純文学の文脈としては大成功。最後の章がなければ、神谷という男はヒーローのままで終わる。色々と問題を抱えている人だけれど、主人公の最終決断に対するコメントを見ても、やっぱり理想の先輩でありヒーローなのだ。そして、純文学で一番存在が有り得ないのはヒーローだから。

この先も僕は火花という作品を思い返すたびに神谷という男が浮かんできて、彼の行き過ぎてしまった笑いへの態度が浮かぶのだろう。グロテスクだからこそ、その存在感が妙に腹にずっしりとくる。。こういうのを、人 に 持 た せ る な。
この言葉が火花への最大限の賛辞。

 



藤村操は生きていた 『煩悶記』  −禅を修めて盗となる。賊禅一味−

世間に伝わらないのは不運それとも自業自得?



「大いなる悲観は大いなる楽観に一致する」まで気づいて、人は自殺するのだろうか

昔から藤村操について疑問を感じていた。色々と考えて唯一、個人的に納得できたのは「引っ込みつかない&達成感」 東京の家を出るときに「自殺します。探さないでください」ぐらいの書き置きしてたら「やっぱり死ねませんでした」といって帰宅するのは躊躇する。「大いなる悲観は大いなる楽観に一致する」まで気づけたら人生の達成感も出るから悔いが無くなる。確かにこの二つが揃ったら微笑んで華厳の滝を飛び降りるかもね、とは思ってた。

藤村操について、哲学を学ぶ人にとっては有名人だけど、今は漫画GTOから知る人も多いのかな。僕は小学生の頃に地理の本で知った。日光の華厳の滝についての説明に書いてあったんだ。それ以来、心に小骨が引っかかっている状態だったけど、18ぐらいの時には上記の考えで納得してた。そして20年経過して「彼が存命していてフランスで悟りを開いた」という偽書の存在を知った。フランス&海賊船&悟りというワケ分からん組み合わせに、純粋に偽書だと思ったけど、「読んでみたら」と言われたんだよね。

確かに読まずに判断するほど愚かなものはない。
ところが読もうとすると全く手に入らない。やっとのことで国会図書館に見つけて、1月に読んでみました。

読めば分かる。これはまさしく本人が書いた文章。そう断言できる内容。
そして何よりも痛感したのが本のタイトルのおかしさ。この本は「煩悶記」と呼ぶべきではない。本の中に書いてあるように「賊禅一味」とか「賊禅哲学」と呼ぶべき。同じように巷に流布している

「人生不可解」と木に彫って華厳の滝から飛び降り自殺
というのも全くおかしい。どうみても巌頭之感の結論は違う。正しい要約は

「大いなる悲観は大いなる楽観に一致する」と木に彫って華厳の滝から飛び降り自殺
になるし、この瞬間に殆どの人が疑問に思うでしょう。「え、この理由で人は自殺するんだっけ?」と。

ここまでの意見に腹落ちしてくれる人は煩悶記を読んで欲しいし、読めば僕と同じ結論「藤村操は生きていた」になると思うよ。というよりも、そもそも華厳の滝で飛び降り自殺といっても死体は見つからなかったのだから、その事実とこの本の存在からの必然的結論にも思える。
 



恋愛兵法〜その奥にある「間合い」


な、なんだこの本は。面白すぎる。

「今、戦っている全ての女子たちへ。」
「戦わずして、生き延びる」。 デキるビジネスマンたちがこぞって愛読する、孫子の「兵法」や宮本武蔵の「五輪書」だが、じつは素敵な恋愛や結婚を目指す女性たちにも示唆に富む言葉がたくさんある。古今東西の兵法のエッセンスを元に、気鋭の女性脚本家が、自ら体験談も失敗談もさらけだしながら、全ての悩める女性達に分かりやすく語りかける「女のための恋愛」兵法書 (カバー裏)

とまで書かれたらそりゃ読むでしょう。え、お前は男だろ〜って? 甘い。自分の戦略をたてるだけでなく相手の戦略を抑えるのが真の兵法家。女性のバイブルが生まれたならば読む。逆に女性もやればいい。この本とか読めばヤリチンに引っかかる確率は半分以下になること間違いない。 会社の新人を見ていて痛感する。

まとめサイトレベルで満足している人が多すぎる。
情報にある程度のお金を出す習慣がないと、一生、自己と周囲の経験外に出れない。全てのジャンルにおいて、基本のルール・法則と、初心者が陥りがちな罠がある。それらは5000円前後で情報を集めれば回避できるのだから、しておいて損は無い。もちろんゼロベースでぶつかって取り組む意義は絶対にある。けど、分野が恋愛だと、ひとつひとつが痛いから。

失恋はつらい。皮膚をバリバリと剥がされ、その上に塩水をかけられた「因幡の白ウサギ」と同じくらいにつらいものだ(P.62)
この文章を読んだ時点で、この著者の恋愛経験を信じる気になった。本を信じる前に、それが生まれた源流を信じれるか。まずはここからスタートなのに、それを知らない人も多い。こういう風に率直に書いてくれる著者は素晴らしい。


だからこそ、もう一歩突き詰めたい。

PXXを見て分かった。この事例が一番深いが、その深さを解説できてない。そのもどかしさは読んでいて伝わってくる。一番大事なところを「間合い」という言葉で表現している。武道だろうと恋愛だろうと、確かに最終的には間合いで決まる。じゃあ、間合いの核とは何か。

 

「守破離」の解説も一般レベルでちょっと残念。もっと深い世界を知らないと、その先にはいけない。恋愛兵法というジャンルを初めて作った価値は120%あるからこそ本自体は激お薦めだけど、その先の武道と型の理解はまとめサイトレベル。

 

大学時代に古武術をやりこんで、初めて間合いが立体的に分かった。剣道だろうと柔道だろうとボクシングだろうと空手だろうと、ルールに縛られた現代武道では決して見えない場所がある。ルール無しの総合格闘技大会といっても「素手」というルールはあるから、やっぱり間合いの奥は分からない。

 

剣から初めて、最後に柔を学ぶ古武術と、

柔から初めて、最後に剣を学ぶ古武術がある

これこそが、間合いの奥にある扉。

 

 

「女はオッパイかお尻ではなく頭を使うべきだと言うけれど、でも女はすべてを使うべき(マドンナ)」
引用する故事名言(マドンナは生きているけど)のセンスは確かだから、読む価値は絶対にある。そして、この本を基本とした上での考察を今後書いていきたいと思ってます。僕は結局、杖術・棒術の手前で卒業となり、その先を突き詰めることは出来なかったからこそ、今回の恋愛兵法を題材に間合いの奥を探っていきたいと思っている。

 

ということで、まずは興味があれば買って読んでみてはどうでしょう。色々と良いことを書いている本だから、この中でも何処に注目するかで今の己のレベルが分かる。まずはそこからだね。後日追加します。

 

 




二十歳の頃から渇望していた本。長沼伸一郎著『経済数学の直感的方法』

己の人生に本当に必要な本を若い時に読めた人は、それだけで幸せ。
先日は「恋愛兵法」も取り上げたけど、あの本であっても長沼氏の本と比較したら子供のおもちゃ。中国の兵法書だって本当に怖いのは韓非子。藤原一族があれだけ平安時代を牛耳ったのも、彼らが韓非子をバイブルにしていたから。シンプルに言えば孫子は善人の兵法なんだよ。韓非子は悪人の兵法。心底反吐がでるような兵法が韓非子であり、権力を握るとはそいういうことの積み重ね。

本を読んでいても感動でページをめくる手が止まる。それだけの価値があるのは以前にも紹介した長沼伸一郎氏だけ。
ベタに書けば東大の総長よりも偉いのに、頭があまりにも良すぎて世間的に分かりやすい肩書きが無い。だから物事が分かっている極一部の人しか知らない。一般的に「分かりやすい説明」といえば、NHKの子供ニュースで説明力を磨いた池上彰と、日本の教育界における自由競争の成功例=予備校教師で名をあげた林修。 確かに両名とも日本の両巨頭だし誰でも知っている。もちろん凄い。けど、やっぱり長沼伸一郎氏のほうが上。

数学とはアートである
ことを体感で知っているのが真の理系であり、僕は二十歳の頃に氏の本によって、やっと数学がアートなことを分かった。オイラーの等式マックスウェルの方程式。そしてハーモニックコスモスの思想と、逆算の必要性。結局、全ては逆算なんだよ。これが時間軸を自由に変化させる鍵。


ところがあの本「物理数学の直感的方法」は文系の人には薦めれない。真に能力がある文系ならばOKだけど、そんな人は極一部。だからこそ、やっと文系の人が楽しめるレベルまで噛み砕いた本を書いてくれて凄く嬉しい。これを渇望という。僕が渇望するのは長沼伸一郎氏だけだし、当時もそう書いた。

経済学の学生向けに、超基本的な所から偏微分方程式までを一気に理解できる、平易で噛み砕いた内容の本を書けば、大ベストセラーになると思う。微分積分ぐらいなら巷にあるけど、偏微分方程式をその概念まで分かりやすく表現できるのは長沼氏ぐらいだと思う。けど、根本的にこういう方向性がキライなのかも。。売 りに走らない態度も好きだけど、もうちょっと現世的な成功を求めても良いかも・・・と思う時がある。

なのにAmazonでの評価の低さ。

対抗してAmazonにもレビュー書きたいけど、感情が入りすぎるからやめておく。「この本の良さが分からん奴は終わってる」なんて、さすがに書けない。けど、本心はここ。そもそもこのBookコーナーは本当のオススメ本しか紹介しないけど、本音を言えば他の本には感動は無いし渇望もない。なぜって自分で同じ結論にたどり着けるから。もちろん細部のテクニカルなところでの学びはある。だから1000円前後・読書時間を費やすのは全然苦じゃない。けど、大きな視点では「やっぱりそうだよね」としか思わない。脳みそに手を突っ込まれて頭を100回ぐらいシェイクされるような乱暴な学びはそこにない。単なる分かりやすさだけでなく、読み終わったあとには自分自身の頭まで良くなった気分になれる。これこそが、「複雑な概念を俯瞰できる視点から直感的に把握する」という体験。

物理数学の本を書いた後の思索がコンパクトにまとまっているのも嬉しい点。

ルネッサンスの欺瞞さと、「微分方程式」が「火の発明」「文字の発明」「印刷の発明」と同じレベルの発明であることも、この本にちゃんと判り易く書いてある。インド&日本の例でたとえる絶妙さ。これを知らないと真の世界史の流れすら分からない。あと10年経ったら、日本の歴史教育の常識になるのだろうか? それがYesといえなくて・・・この先も中華の覇権に巻き込まれるのは三洋、シャープ以外も沢山でてくるだろうね。しょうがない。日本は歴史上の大部分が中華の周辺国だったのだから。長沼氏のこの二冊の本が日本の文系と理系の高校生の常識にならない限り、日本は二流国に逆戻り。

ということで、これ以上紹介文章を読むくらいなら、本を読んだ方が100倍マシなので、ここで終えます。。

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本当のことを言うと、僕のバイブルはあと3冊。進化論と量子力学と、最小空間・時間。物理のテーマなのに、どんどんスピリチャルな内容になってくるから、純粋な理系である長沼氏は生理的に拒否反応を示すだろうね。いつか長沼氏が「死んだらどうなるのか」について突き詰めてくれると非常に楽しい世界になるのだけど。極小空間と生命の発生に関しては、今の僕らは天動説レベルの知識しかないのだと思った方がいいのでは。結局、意識を持つ生命は多次元の存在で、この世は最大公約数としての4次元で、それは回転が空間と時間を生み出すからだと。おっと、この文章はパスファインダー向けに書いたのでこれぐらいで。


もっと砕けて書くと、恋愛兵法を韓非子版で作り直すと恋愛じゃなくなる。そういう意味では先日の本は正しい。「隣の強国に勝つには、一番下品な者が交渉に来た時だけまとめろ。そしてその者が功績から隣の国で偉くなったら、賄賂と女をあてがえ」とまでいう韓非子だから、これで恋愛兵法を作った日には相手の精神破壊レベルになるだろうね。
 




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