会社と社員と終身雇用

数年前「形骸化した朝礼をイノベーションする」というワークショップを実施したときに「3分間スピーチが詰まらないのは当たり障りのない話題だから。トップシークレットをカミングアウトすれば面白くなる」→「社内恋愛よりも転職したい会社」というアイディアが出た。確かにどの業界が伸びると思っているか・どんな働き方をしたいかが一目瞭然になる。面白そうだったので自分の番で試してみた。

 

  • 入社してから3年目〜7年目ぐらいのとき転職を検討して興味がある会社をウォッチしてた
  • 情報系出身なのでやっぱりIT系は外せない。料理も趣味だから、料理×ICTとしてオイシックス
  • 農家が捨てるか自家消費する形が悪い/虫がかじった野菜をネット販売するのは、社会的にも価値があると思えた
  • 当時(2005年前後)はIT企業ではガチャゲーム系が伸びていたけど、ギャンブルは個人的にも社会的にもパス
  • けどオイシックスは完全無農薬&実店舗(高級ストア)路線になって、個人的には残念な方向性へ
  • 結局、私自身も会社の仕事がそれなりに面白くなって、手応えもあってここまできた
  • ちなみに当時、料理×ICTでクックパッドもあったけど、マネタイズの可能性が低いと思って考慮外
  • まさかネットにあるレシピを製本してコンビニで売れるとは。。
  • もっと凄いのは日本初のビジネスモデルといえる「食品メーカー(キューピーとか)と組んで新しいレシピの開発」
  • いまは当然、クックパッドの方が断然伸びてる。オイシックスはレシピ共有サイトに後発で参入したが敗退。
  • 結論として、新規ビジネスの伸びを予想するのは難しいと痛感

結構ウケた。もし皆さんもマンネリ化していたら「転職したい会社のカミングアウト」を試してみたら? 

 

このスピーチのときに触れなかったけど、期待を込めてウオッチしていたのがドワンゴ・ニコニコ動画。もしかしたら日本初の新しい動画の楽しみ方になるかも。銀座に移転&角川を飲み込んで総合メディア企業を目指していたけど、最近は角川から切り離された形になって、、、、動画コンテンツサービスとしてサーバーの投資体力が続かなかった。ドワンゴでもダメならば誰もYoutubeには勝てない、、、と思っていたらTikTokが流行ってる。さすが中華マーケット。

 

かなり前置きが長くなりましたが、、、このドワンゴの一連のネット記事は非常に面白い。

 

社長にとって終身雇用は周囲に言う事を良く聞く出来る社員が多いのだから良い制度。

人事にとっては会社をやめさせたいダメ社員の対応に忙殺されて己も磨り減る悪い制度

安心感は大事だけど、気を抜くと怠惰になる。これは人間の性(さが)だよね。かといって本当のプロみたいに1年更新の年俸制にするのは年収2000万以上ぐらいでは? 「経団連が終身雇用を守れないとカミングアウトしたのは、日本を守れないと徳川幕府がカミングアウトした大政奉還ばりの衝撃」という意見には爆笑したけど、もう無理なのはみんな薄々感じてる。明日は参議院選挙だけど、今の日本の色々な論点って完全に一致するのは夫婦間でも難しいレベルのような。消費税についても色々と思うけど徴収漏れがないのは確か。根本的には家のローンに縛られること。現在の年収でローン返済計画を組んでいるから年収が下がる転職ができなくて、40過ぎて年収があがる転職ができるのは対象層の半分もいない。人口減で空き家が問題になっているのだから、お金の補助じゃなくて住む場所の補助の方がよいのでは、、、

 

ここら辺は簡単に答えのない問題だが、ドワンゴの会長の対談と社員の告発は非常に面白い。

ドワンゴ川上会長の対談

そこで名指しされた社員の反論

 

  • どんな会社であっても「以前は良くても今は悪くなってきた仕組みをなかなか変えられない」制度骨折なフェーズがある
  • この骨折に巻き込まれた社員は本当に可哀相だが、社会も会社も働く人も変化する中で発生をゼロにはできない
  • 骨折が積み重なっている時期と、それを解消する時期があり、重い腰をあげるまでの時間の長さもある意味納得。逆に解消すると決めても、すぐに解消もできるほど優しくない。ルールは強権だが、社員の考え方とかマインドセットは1年じゃ無理。
  • 制度骨折が積み重なる時期は3年間ぐらいあるし、そこに直撃された社員はこのストレスにその期間ずっとは耐えれない

 

会社が急激に大きくなるタイミングではこういう制度骨折が発生するし(制度骨折というよりも個人に依存した曖昧な制度で回らなくなる)、それに耐えれなかったのは至極納得。ただ「3年後に採用された新人は給与が高く、自分達も上がったけど新人と同じ金額だから転職を決断した」部分については・・・。会社の総人件費と採用市場での競争力を考えるとしょうがない面はある。ここだけは、ちゃんと社長が腹を割って社員に明確に言えば伝わる話だと思う。影でこっそりやるから、その後で「今年の新人から30万円になったらしいぞ」と噂になる最悪なケース。4月の新人の入社の前、せめて年明けぐらいに発表して、1月〜3月の3ヶ月間でも先に若手を30万円の給与にしておく。ここまでのケアは伸びてて忙しいベンチャーの社長が気づくには難しいから人事部長が提言すべき。けど、技術系ベンチャーの初期の人事部長って、こういう点まで配慮できる人は少ないのね。。それもこの世の道理だとは思うけど。

 

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最初知った時は「短い動画しか投稿できないYoutube」という理解で、TikTokの何が凄いかさっぱり不明だったけど、この分析は非常にCoolで感動レベル。「15秒だからこそ強制的に最初の数百名に閲覧強要できる」とは、、なるほどねぇ。かなり勉強になりました。今後のICTは技術よりも人間感情理解の方が優先するのだろう。日本はずっと文系・理系でいがみあってたけど、ついに文理融合が必要な時代になったのかもね。

 

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「Webサービスは工業デザインに近い」という川上氏の発言は興味深いし正しいと思う。こういう記事を読むと企画業務の大変さが伝わる。うちの新人でも「企画がやりたいです」っていう奴たくさんいるけど、辛さ分かってるのか?と小一時間問い詰めたくなる。本を読むのがTV見るのと同じ難易度。文庫本サイズなら1時間ちょっとでOKってのが基本ライン。

  • 結局、Webの仕事って、8割くらいはスクリプト言語が書ければ成立しちゃうんで、残り10%とか20%のところに大量に優秀な人材を揃えたところで、っていう歩留り感はありますよね
  • 仕事がつまらないから、仕事に対してモチベーションを発揮できないから、せめて新しい言語を使って刺激を受けたい、っていうのが本音なんですよ。
  • 『ドワンゴ』で使っている動画系のメッセージングのサーバと、Webアプリ系のサーバって、まったく違う性質のシステムだと思うのですが、それでも両方PHPで統一ってなると、逆に無理があるから、バックエンドにはErlangやScalaのようなランタイムが強力なものを使い分けて、ってなるじゃないですか?
  •  今までの人類の歴史を振り返って、なにが進化の原動力たり得たかっていうと、「勘違い」なんですよw 全部勘違いで、間違った極論を言う人が世の中で突出するんですよ。バランスいい人っていうのは、もうそこで結論出ちゃっているから、進化させるようなパワーは生み出せない。間違ったことを言う人が、世の中を進化させてきたんですよ。で、間違っているから批判されるわけ。そうすると、議論が起こるじゃん。その繰り返しでレベルが上がっていく。だから間違ったことを言う人が必要なんですよ。

最近のバズっている言語はほとんど同じだと思ってる。スペイン語とポルトガル語の相似性レベル。ずっとErlangは気になっている。色々と読んでるつもりだけど、実際のサービスの会話でErlangを見たのは初めてかも。MLとErlangを使えるのが僕が思うプログラミングのプロであって、、そのレベルは大学時代に挫折した。川上氏の文系理解というか宗教理解の点はスゲーな。コンテンツビジネスを引っ張っていただけのことはある。

 

  • それで新しいコンテンツやサービスをつくるっていうのは、基本、並列化が難しいジョブなんですよ。ビジョンをつくるような仕事は、複数の人間でやると人間同士のデータ転送の帯域も狭ければ遅延も大きいから、逆に極端に遅くなる。簡単に言っちゃえば、一人でやった方が効率がいいんだよね。
  • 問題なのは、特にエンターテイメントコンテンツにおいては、ビジョンをつくっている人間がビジョンたり得るものを脳の中に最初から持っているわけではないってことなんですよ。
  • 新しいコンテンツとかサービスって、何をつくっていったらいいのかなんて、リーダーもわかってないわけですよ。試行錯誤で煮詰めていくわけでしょ? その試行錯誤を一人でやっても大変なのに、人を増やしていったら破綻するか、なんの面白みもない平凡なものをゆっくりと作ることにしかならないです。
  • これって、ひとつのものを一人でつくりあげたことがある人じゃないと多分わからないんですよ。ほとんどの人が一人でものをつくったことなんてないでしょ? だから、ほとんどの人が、もののつくり方がわからないから、アジャイルとかスクラムとかって、ある意味精神的なサプリメントとしての機能もあるんじゃないかな。みんな、どうやっていいかわからないから、そういう不安感を鎮めるためのサプリメント。

この部分も凄く大切。ここら辺は今後の大学の情報系の授業、というよりも教養として1,2年生のときに教えるべき。「本当の教養は時代を超越する」のは正しいけど、それは研究者の視点であって、学生視点に立てば今の時代での活用例をみせるべき。1995年にWindowsブームのさなか大学入学して、最初の半年で大学の授業には幻滅した。そんな遠い記憶が想い出されるレベルの議論。最高は3人なんだろうね。けど、本当に新しい事をやろうとすると損得の前に動く3人集めなくちゃいけない。そんな意味では友情も大切。それでも「動詞と名詞と形容詞のなかで一番本質なのはどれ?」なんてアホな設問を真面目に取り組むひとは他になかった。周囲は子育てで忙しい時期だからこそ誘うこともなく独りでやったらゆうに3年は掛かったけど、、まあこればっかりはしょうがない。

 

  • なんかね、会議のときに、社員が一生懸命説明している内容を聞いてて、「あれ? これ2年くらい前に同じコンセプトを僕が説明してるぞ」って思うことがよくあるんですよ。結論しか覚えないから、リバースエンジニアリングやるのに2年間かかったんでしょうね。僕はちゃんと途中の計算も最初から説明しているのに。
  • 僕の言っていることと合っているかどうか? っていうのを気にする段階で、すでに間違っているんだよね。だって僕のビジョンとかって、マーケットに受け入れられるかどうか、って視点で考えているわけじゃないですか? それがベースであって、なにも自分の宗教を押し付けようとしているわけじゃない。なんだけど、僕の話を聞く人っていうのは、できるだけ僕の話の再現性の高いアウトプットを生成しようとするわけですよ。そんなのいいから、僕みたいにもっとマーケットを意識して、正しいデータに基づいて再計算してくれよって思う。
  • マーケットを見て同じ結論を出す、もしくは、僕の結論が間違っているのならそれを指摘しろ、っていうところまで、本当は行かなきゃいけないんだけど、実際にはそのレベルになくって、僕の言っていることを正しく理解するってフェーズで、すべてのリソースを使おうとするから、おかしくなっちゃうんですよ。
  • 矛盾するようなことを言うけれど、僕の言ってることを100%正しいと思って、それを忠実に再現しようとするのが、トラブルの第一の原因なんですよ。で、第二の原因って言うのは、僕が言ってることを参考に、自分のオリジナルのアイデアを付け加えようとする。それがね、だいたい悲惨な結果を招くんですよ。
  • Webのエンジニアって、基本的に工業デザインに近いって僕は思っているんですよ。ところが、Webサービスのデザイナーって工業デザインじゃなくって…ええっと…自分はクリエイターであるべきと勘違いしてる人が多い。

成長性がある会社の企画業務ってこれぐらいハード。一人の天才で回せるのは最高300人ぐらい。だから企画も社長だけでなくチームとして進めるけど、そこに入るとこれが現実。世の企画やりたいという学生は全員この中編を読むべき。これを読んでもやりたいと思えるなら立派だよ。このあとも準エンジニア手当制度とか興味深い話題が多いけど、、、あまりに引用してもダメなので、ごれぐらいで。

 




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