「直観でわかる数学」 畑村洋太郎


「頭の良さの本質とは何か?」これが私が思うAI(人工知能)の2大テーマのひとつです。もうひとつは「感情の根源は何か?」です。そう思って研究をしていた10年前の院生だったけど、テーマが大きすぎて破綻して、今では普通に社会人生活を送っている(笑 けど、今でも休日はこのテーマをライフワークで追っかけています。 

「頭の良さの本質とは何か?」の現在の私の暫定解が「抽象概念の操作」のレベルになる。

一番抽象概念を使うのは数学科の人です。だから、理系の人は密かに数学家が一番頭が良いと思ってて、文系ってのは高校時代に数学に付いていけなくなった人が行く所だと思ってる面があるのは否定できません。

この本はものすごく良いです。ハッキリ言って、文系出身者は全員に読んで欲しいそれだけの価値がある本です。理系出身者でも対数とか複素関数とかがイマイチ腹から納得できてない人は読んで欲しい。本を読んだだけで頭が良くなると言えるのは、この本と長沼さんの本だけです。著者の畑村さんも長めの前書きで長沼さんの本を薦めているしね。

この本のイメージを初めて意識したのは、19歳で大学に入学した直後のことだった。数学の講義を聴いてもチンプンカンプンでさっぱり分からなかった。<略>
なるほど、東大に入れただけあって、分からないながら問題は解ける。しかし、どうも胸のつかえが下りない。なんだかモヤモヤするのである。<略>
自分には問題を解く技術(スキル)はある。しかし、数学の本質がわかっていない。そう気づいたら、数学の本質をガッシリわしづかみできる本が欲しいと思うようになった。しかし、そんな本はどう探しても見つからない。結局、自分の頭だけで考えていくしかないと観念した。
※私の知るかぎり、長沼伸一郎著の本だけがそれに近いものである
<略>
なんとか自分なりにその本質がわかったと心底思えるようになったのは、定年を間近にひかえた還暦の年である。これだけ苦労して考えたことも、私がお陀仏になればそれっきり消えてしまう。いつか定年になって時間が取れるようになったら、絶対本にしてやろうと思い続け、、、

この前書きで買い決定でしょう。私も山ほどの本を読んでいますが、このコンセプトに該当するのは、長沼氏と畑村氏の本だけです。数学家の志賀氏の本もいい線に行っているが、もうちょっとラディカルに数学の世界から出て書いて欲しいなぁ。世の人が求めているのは定理や数式じゃない。その奥の概念だから。ただ、「数の大航海」という対数の誕生と広がりを書いた本はかなり面白い。純粋に読み物として読めるし、対数の必要性が歴史的経緯から、腹の底から理解できると思う。


その時々の生産量が社会全体の活動の伸びに比例している工作機械業界は「微分型産業」と呼ばれる。一方、それまでの生産量に比例して商売の大きさが決まる保守や修理業は「積分型産業」と呼ばれる。
いやー、この分類は始めてみたけど、本質をついてるね。センスがある人は微分と積分を概念から上手に使いこなす。以前にも書いたけど、「彼がしているのは言葉の微分だ」と表現できる人は、文系でも最高級だと勝手に思ってます。そんなセンスは、この本で身につくんじゃないかな。

第一章の最初の言葉も面白い。
サイン・コサインと聞くと、高校時代の友達が「サイン・コサイン大キライ」と言っていたのを思い出す。
ってナイスな始まり方。やっぱりこういう本を読むべきで、こういう本が増えると世の中は良くなるよね。ということで、己が進むべき方向が分かっている人で、この本を必要としている人は、ここまでの紹介で必ずこの本を読むと思うので、紹介はここまでで(笑


ちなみに本当に突き詰めるならば「抽象とは何か?」自体を突き詰める必要がある。その結論はまた別の機会で。「感情の根源」の結論もそう。4つです。喜怒哀楽の4つじゃないけど、4つです。これについては、私のライフワークの到達点の一つなので時期が来るまで書きませんが(笑

 



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