超感性!?

先日からの本を読んでる。「超感性」って初めて見た単語。詞的・文学的な文章に使われるなら、まだいい。けど、論述的・分析的な文章でこういう単語が出てくると困るんですけど・・・・。そもそも感覚と感情を明確に分離できるかどうかも謎。どこかで線を引かないと区別はできないと感じてる。「感性」は一般用語だけど、感覚と感情と感性の三つの違いを明確化することすら大変。感覚は感覚器で感じるけど、感情と感性はそもそも何で感じるのか、まずこの問いから答えないと。

 

そして「超感性」。これって「スゲー鋭い感性」なの? それとも「感性を超えたもの」なの? 接頭辞としての「超」は常に多義性をもっている。本を読んでるともちろん「感性を超えたもの」だが、造語をするなら元になる言葉は明確にしてくれ。「表象を伴わない概念」って、表象も概念もクリアに定義するのが難しい単語だけど、「表象を伴わない概念」は概念では無いような。単なる「もやもやしたイメージ」といわれたほうが腹落ちできる。

 

この表象を伴わない概念が、言語規範の媒介を受けて感性的な性格を付与される過程も取り込んでいるところである。三浦は、この過程のあり方を《概念の二重化》と呼んでいる。(『言語過程説の研究』 P83)

 

この「概念の二重化」の定義は、すみません僕にはさっぱりわかりません。定義の文章で使われている単語の説明もない(概念とは何か等)し、その組み合わせも「?」がある。言語にはある種の規範(犬という物体を犬と呼ぶルール等)があるのは納得。けど、その媒介をうけたら、感性的な性格が付与されるの? 逆じゃないの?感性的な面が削り落とされるのでは?

 

「宇宙人が犬らしきペットをつれていた」場面を考えよう。外見は犬にちかい。しかし全身メタリック色。ロボットかと思ったが、あまりに動きがなめらかで、生物に思える。鳴き声はまだ聞いてない。

 

この時、「表象を伴わない概念」とは何ですか? 「犬らしきペット」と思った時点でもう普通の概念ですか。 犬という言葉を使って表現すると、メタリックで機械的な見た目(=感性)が伝わらなくなる。だから、「犬らしき」と表現し、「全身メタリック色」と形容する。

 

頼むからこういう場面設定をして、その上で議論してください。じゃないと、言語学の中だけでの議論になっちゃう。ウチみたいに人工知能の中間言語を作ろうとしているなら、その中に入っていくけど、それでも途中でイヤになる。こういう箇所を真面目に読み解くヒマあったら、零から自分で作った方が早いと本気で思う。そしたら「概念」は採用しても「表象」なんて単語はそもそも採用しない。「感覚」と「感情」は採用するけど「感性」はいらない。感性を捨てるのは勇気がいるけど、やっぱりいらないな。

 

 

「超感性」なんて、昔の女子高生の「チョベリバ」と同じぐらいの限定単語だと思った方がいいと感じる。一般的にもそんな結論になりそうだけど、独自の用語満載の哲学書って妙に「俺は難しいことやってんだぜ」感があるんだよね。本当に新しい用語を作る必要あるのか?日常単語で表現できないのか? つねに考えるべきだと思ってます。ちょっと前に話題になった(もう二年前か)、この「アンチ・エビデンス論批判」は凄く興味深い。本サイトも批判側につきます。「最大限、日常単語を使え」と。

 

「ほっぺたとあごの間に名前つける」

と言ったのは誰か忘れたけど、名前をつけるだけの必要性は絶対にいる。整形とかやってるお医者さんにとっては、ここら辺に名前をつける必要あるかもね。問題なのは、物体的なものは見れば誰でも分かるけど、感性とか感覚とか内面的な部分で新しい用語が出来ても、その用語が指す範囲を皆が理解するのが難しい。だからこそ、より詳しく説明してくれないと。そのためには人間の理解の全体構造も必要だし、そもそも理解の部分だけ取り出して議論してもしょうがないんだよね。「理解」という言葉がカバーする範囲自体が人によって違うから。もっと大きな系として捉えないと。ここまでやれば、AIまで後一歩かな。

 

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言語学、心理学、哲学を網羅するからAIは理系の中では一番文系に近いと思ってる。今、流行りのDeep Learningは数学寄り。けど、数学における意味論って集合への写像だけなんだよね。その集合を誰が作るかとか、どんな中身なの、一切無視。まあその割り切りこそが数学なんだけど。言うだけなら誰でもできる。実際に作る場面になって、変な用語増やせば増やすほど自らの首を絞める。確かに音楽のレビュー書いているとついつい普段あまり使わない用語とかを使用してしまうから、「全く使うな派」ではないけど。それでも節度は必要だと思ってます。

 




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