AI:人工知能は再び冬の時代へ


今年の国立情報学研究所:NIIのオープンキャンパスに行って根掘り葉掘り聞いてきたから、壁にぶつかっていることは理解していたけど、まさか撤退するとはね。その決断は褒めるべきなのかもしれない。もともと「東大入試に合格するAI」という目標自体がキャッチーではあっても本質ではないと思っていた。本撤退に加えて、ムーアの法則の終了、そしてDeep Learningの先行企業アライアンスのニュースまでの3つが重なると、

季節の変わり目
にいる事を痛感する。シンギュラリティーとか言っている人はカリブの夏の気分かもしれないけど、第一線の研究者の心象風景は夏が終わって秋だろう。悪いけど、自分はもう冬支度の気分。どんなジャンルだろうと波の上下はあるけれど、何故か人工知能はその上下の幅が激しくなる。昔からそう。そして、波が高い時ほど底も低い。この反動は一体どこまで落ちるのだろう。

クリティカルで本質的な目標ならば、「中学の国語の問題を解く人工知能」
これだけでいい。東大なんてどっちでもいい。そんなのは2001年には分かってた。だから、東大入試と聞いてもアホらしかった。社会的に注目されたのは素晴らしいけど、国語の偏差値が一番低いのは当然。Deep Learningだって言語には使えない。そんなに言語は甘くない。

14日の成果報告会で情報学研の新井紀子教授は「意味を深く理解しないといけないことを聞かれると、とたんに難しくなる」と話し、問題を理解する読解力に限界があることを明らかにした。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14HI5_U6A111C1CR8000/

何をもって深い理解とするのか、本当に人間は深い理解を出来ているのか、考えることは山ほどある。朝日新聞は成績表を出してくれて素晴らしい。個人的に興味深いのは英語のリスニングの一番偏差値が低い事。結局、単純な音声→文字データの変換なのでなく、常識に照らし合わせた回答が求められており、今も昔も常識を扱うのが一番困難。だから、短すぎる文章も苦手なのだ。こちらが補足しなくちゃいけない事が多すぎる。長い文章も短い文章もダメ。それが今の現実で、僕が大学院生だった15年前から何も変わってない。変わったのはDeep Learning。けど、ニューロコンピューティングで一番大事なのは抽象・ロジカルレイヤーの作成であり、それは80年代からの課題で、やっぱりDeep Learningでも達成出来てない。


AIについて率直に発言していたNIIの佐藤教授も流石にネガティブなことは言えないのかな。けど今回のムーアの法則終了については非常に面白かった。ここでは「ハードウエアボーナスがなくなり、今後はソフトウエアの比重が高まる」と書いているけど、AIに関してはもっと手前の問題。そもそもの言語設計から見直さないと。東大入試AIがそれをしてないのはチャレンジ1年目の時点で分かってたし、今回の撤退判断は、そもそもどうやって見直せばいいのかも分かって無いのだろう。

松尾先生もコンパクトに要点かいているけど、画像の特徴量と言語の特徴量はワケが違う。画素同士の関係性と意味同士の関係性だから。30Pの「言語の意味理解 – そのうち(10年〜15年?)、意味理解を伴う自動翻訳が実現される 」というのは早めに訂正した方がいい。真の意味の理解のためには、比較言語学でなく比較宗教学が必要。うちの指導教官は論理以外はまったく無視だったから、僕は博士課程に残れなかったけど、ごめん。そろそろ勝負はついた。間違っているのはロジカル至上主義であり、最近のDeep Learning至上主義。そういう意味では、東大入試AIの国語担当の人には親近感は持っている。Word2vecは確かに面白いけど、これを延々とやればいつかできるって? 90年のマックがアップルウオッチのサイズまで小さくなったようなハードウエアの進歩がこの先に無いなら、Word2Vecの全単語処理なんて有りえない。それより先に火星に人類行けるんじゃないか。

どう?そろそろ俺のやり方についてこない?
英語を2000単語まで絞ったロングマンは素晴らしいけど、2000語を丁寧に見てみな。こんなにいらないから。本気でやれば、この二割でいける。それがうちのやり方。そしたらぶち当たるのが、名詞と動詞、どちらがプリミティブか。この答えまで同じなら、俺と一緒に手を組まない? ドングリ貯めずに浮かれている奴はみんな冬を越せない。それが自然の掟。俺に必要なのは残り一つのドングリ。ここで2ヶ月以上足踏みしてるんだが。。

 



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